バーナードは、リベラルアーツカレッジの中でも特殊な大学と言えるでしょう。マンハッタンのアッパーウェストサイドに移置し、ブロードウェイを挟んだ真向いにコロンビア・カレッジがあり、両大学の学生は同じ授業を履修します。課外活動も一緒、学生寮以外は、図書館をはじめ食堂など大学施設も同じように使えます。バーナードの学位に至っては、Barnard CollegeとColumbia University(Columbia Collegeではありません)の2カ所からそれぞれ授与されます。双子の教育機関のようですが、卒業要件のカリキュラムやフレッシュマンコア科目に違いがあり、バーナードではリベラルアーツカレッジと総合大学の両方を経験することができます。
ここでは、受験生が進学先選択の参考にと、バーナードでの経験から総合大学と比較し、リベラルアーツカレッジの特徴を紹介します。
リベラルアーツカレッジの長所と短所
フレッシュマンのライティングやリーディングの必修授業は、米国大学で一般的になっています。バーナードもコロンビアも一年生の必修ですが顕著な違いがあります。コロンビアでは、大学院生が授業を担当しますが、バーナードでは、教授が担当し、クラスのサイズも12-15名です。教授は教育経験も長く、一人一人の個性を見ながら力を引き出そうとしてくれます。私が、一年生秋学期に履修したライティングの授業は、米国人の学生に比べ英語力の面で大変な授業でした。しかし、授業での発言、課題の提出などから見える文章のスタイルの変化、また着眼点の面白さなど丁寧に見てくれていたようで潜在能力を評価されたのか、半年近く経った4月、先生が2022年秋学期に選抜制のライティングの授業を受けないかと誘ってくれました。また、フレッシュマン・セミナーの別の教授は、昨今のウクライナ情勢から、ロシア研究に興味のある私を心配し「大丈夫」と声をかけてくれたりもします。このように、個々の学生を覚えてくれ、親身になってくれる距離感の近さがあります。
カリキュラムの違いの一つとして、バーナードは卒業論文を書きますがコロンビアは一部の学生のみ書くことができます。1年間かけて1つの課題に取り組み論文にまとめることは、本来なら総合大学にあるべきものでしょうが、リベラルアーツカレッジで行われるのは、リベラルアーツカレッジの特徴でもある面倒見の良さが起因しているかもしれません。
このように小さい規模のリベラルアーツカレッジだからこそ、学生は目を向けてもらえる状況がありますが、規模の小ささは、学部の数やマイナーな学部に所属する教員の数が少ないという問題も起こります。私が専攻に考えているSlavic Departmentは、まさにこれに該当し、学部の教授はたった1人!幸いにも、コロンビア・カレッジには、多くの教授がバーナードと兼任のため、卒論指導の先生をお願いすることができると知り安堵しました。
あまり一般的でない学部に進もうと考えている人は、受験校決定の際に一度学部の教授陣の数も確認した方が良いでしょう。
人を繋ぐグルーバンクロフト基金
グルーバンクロフト基金奨学生に選ばれたとき、当時の理事長だった松本さんから「好きな事を学んで来ていいよ。興味がある事が変わるかもしれないけど、それも良い事!」という言葉を頂きました。幼少からバレエを続け、日本のバレエに貢献することとロシア研究を考え、総合大学枠で合格しました。現在もロシア研究専攻する予定ですが、時に自分が面接や文章で書いた事が本当に自分のやりたい事なのか、自問自答することもあります。大学で学びながら変化することも良しという、松本さんの言葉は私を枠から自由にさせてくれ、いろいろなことを吸収する機会を与えてくれています。こんな大切な出会いも、グルーバンクロフト基金の奨学生になれたからです。
90年以上の歴史を持つグルーバンクロフト基金は、これまで多くの留学生を輩出してきました。現奨学生を含め「同窓生」の交流は盛んで、留学先で会うこともあります。留学中の悩みや不安も話すことができ、些細なことと思えることもありました。世界中どこに行ってもグルーバンクロフト基金同窓生に会えるでしょうし、このような出会いは掛け替えのないものです。
基金及び大学受験のアドバイス
自分が興味のあることは、他人には受け入れられない、否定されるかもしれないなどと思わず、考えている事を言葉に出す事が重要です。努力してきた、やりたい事をはっきり表現できれば必ずその熱意は届きます!