Grew Bancroft Family
日本とは全く異なる国の、知らない土地での4年間。アメリカへ留学するという目標がありました。しかし、未知の領域に踏み出すことへの不安感はどうしても拭えませんでした。アメリカに着いて、シカゴから大学のあるゲールズバーグに向かう電車に揺られて約3時間。車窓の景色がビル街から畑へと次第に変わって行き、その不安感が少しずつ現実味を帯びていく感覚を覚えました。しかし、そんな小さな不安はすぐに消え去りました。駅では上級生たちが到着する新入生のことを待ってくれていて、私たちのことを暖かく迎え入れてくれました。
この「人の暖かさ」が、Knox Collegeをはじめとするリベラルアーツ大学の良さの一つでは無いかと私は考えます。Knox Collegeでは、アメリカからだけでなく、世界のさまざまな場所にルーツがある学生たちが日々学び、生活しています。日本では出会うことのなかったであろう異なる文化や価値観に触れることができ、毎日が新しい発見の連続です。そして、こうした発見は、日々受ける授業の中以外にもあることに気づきました。私が運営メンバーとして所属しているEntrepreneurship Societyというクラブでは、起業について、経済、経営、チームビルディングなどといった様々な視点から探究しています。新しいクラブということもあり、部員の確保や効率的な運営方法、イベントの企画など、色々な課題もありますが、それに挑戦することも含めて大きな学びの経験を得られていると感じます。
さらに、小規模の大学だからこそ、学生だけでなく、教授との距離も近いのが、リベラルアーツ教育の「人の暖かさ」のもう一つの面だと思います。授業外の時間にわからない点をすぐに質問しに行けたり、クラブ活動に参加してもらったりなど、教授がとても身近に感じられます。また、文理に関係なく、幅広い分野の教授たちと1対1で関わり、深い学びを得られるのはリベラルアーツ教育の大きな強みであると考えます。経済の授業で扱ったマルクス主義の概念が、別で履修しているテクノロジーと人間の融合について学ぶ哲学の授業で出てきた際は、異なる学問が互いに密接に関わりあっていること、そしてそれに気づくことで広い視野から物事を考えることの大切さについて実感できました。
グルーバンクロフト基金生となってよかったこと
「人の暖かさ」に関しては、グルー・バンクロフト基金も負けない良さを持っていると私は考えます。世代や分野を超えて、様々な場所で活躍している卒業生方や、大学や学年は違っても共通の経験や悩みについて語り合える現役生の先輩方や仲間たちの、豊かなコミュニティこそがグルー・バンクロフト基金の誇る宝なのだと思います。異国での大学生活を送るにあたって、さまざまなアドバイスを受けることができる、家族のような大きなコミュニティがあることは、とても恵まれたことだと思います。まさに、Grew Bancroft Foundation = Grew Bancroft Familyだと強く感じます。