革命がおこった日
アメリカの大学に進学するまで、自分は普通過ぎる大阪の学生でした。
・海外に行ったことすらない
・国際性のかけらもない公立の学校
・まじで関西弁しか話したことがない
大阪市立下福島中学校、大阪府立四條畷高校を卒業後、普通に日本の大学を受験し、第一志望の京都大学に普通に落ちました。第一志望以外行きたくないなと、滑り止めには行かず浪人しました。かといって勉強する気があったわけでもなく、塾には行かずしばらくニートを満喫してました。夏のある日だらだらしてた時に、YouTubeでアメリカに留学する学生の様子を見て「なんか面白そうだな」と感じ、少し海外進学ってだんなのだろうと調べていた時に、大阪の公立高校出身でグルー・バンクロフト基金生として留学している人を偶然見つけました。それをきっかけに海外経験のない自分のような境遇からでも4年間アメリカで勉強する道があるのだと気づき、自分も飛び込んでみたいと決心しました。海外進学を志してからグルー出願までおよそ2か月、必死にTOEFL対策とエッセイに励んだことを覚えています。
レアさが生み出す価値
それにしても4年間アメリカに行くというのはハードルが高い中で、自分を支えてくれたのがグルー基金でした。出願から大学生活まで、本当にお世話になっております。「ユーモアのセンスがはんぱない」と出願書類に書いて出したこの団体が、思ったよりもはるかにすごい人がたくさんいて深みある財団だと最近気づきました。首都圏の名門私立や、国際化出身が多い中、なぜ自分が選ばれたのかと後日面接を担当して頂いた方に聞くと、「わかんない」と言われました。はじめはその意味が分からずあまり気にしていませんでしたが、最近自分なりにその意味の一つを見つけました。過去のグルー生をさかのぼっても、大阪に生まれ育ち日本の”普通”の教育を全うに受けてきた人は珍しいと思います。しかしそのレアさに非常に価値があると思います。ずーっと海外進学を志して英語も堪能な人たちは魅力的ですが、そういった人たちが見えない世界、もちえない価値観を自分は持っていると気づくときがあります。自分のような前例が少ないからこそ、生み出せるものは「わかんない」、けど無限大にあるのではないでしょうか。
学び
アメリカでの学びは想像以上に刺激的で充実しています。黒人の学生と黒人差別について議論する、アメリカ人のルームメイトと原爆投下は正しかったのか討論する、韓国人と竹島の領土問題について話してみる、、。世界で起こっていることを生身で体験するというのは残酷であり、しかし価値のあることだと思います。一方で、話してみるとみんな普通の人間だなとも思います。「竹島が日本か韓国か、じゃんけんで決めようぜ」って韓国からの友達は言ってました。意外とみんな国際問題に関心は持ちつつも、想像もつかないようなことを考えているというわけではないのかな、など学ぶことは様々です。自分の大学は、入学時に専攻を決めず取りたい授業を好きに取れるというシステムですが、分野に縛られずアカデミックな好奇心に自由を与えるというのは面白いものだなと感じます。現在はメキシコ出身の先生のプログラミングの授業やコロンビア出身の先生のスペイン語の授業を取りながら、この先スペインに留学しようかと考えているところです。
誰かへ
自分自身が“普通”に生まれ育ち大阪の公立からアメリカに来た経験から、「大阪の公立高校の底知れぬ可能性」を感じています。アメリカに行くことが正しいわけではないけれど、ひとつの選択肢としてもっと多くの人が考えてもいいんじゃないかと思います。東京の名門私立や国際課、帰国子女が飽和する中で、そうでない経歴を持つ人が4年間留学をするということは革命に近いものを将来社会に起こすと信じています。それは、将来日本社会や誰かのために働く際、日本で人がどんな暮らしをしているのかを知っているということは非常に大事であり、そこにアメリカという何もかも違う場所で過ごすという体験が加わることで、学びが飛躍的に充実するからです。自分は自分の出身である大阪の公立高校に対して海外進学とグルーを広報したいと考えていますが、これは大阪に限らず日本のどこからでも海外に飛び込む人が増えればと願います。