世の中に貢献できる職につきたくて
大学を卒業してから来年で10年になります。まだ若いつもりですが完全に社会人ですね。私はハミルトン大学を卒業後マサチューセッツ州の大学院へ進み教育免許を取り、その後ニューヨーク州で私立の小学校の先生になりました。日本を旅立った時には想像もしていなかった仕事です。リベラルアーツで学んだからこそ4年間存分に勉学に勤しみ世の中に貢献できる職につきたく、教育に興味を持つようになりました。その後テキサス州に移りこちらでも小学校で教えていましたが、2020年に教室を離れ家庭教師ビジネスを起業し現在もオースティンで働いています。
渡米する際、帰国子女なのだからこれからの大学生活は簡単に成功すると根も葉もない自信を持っていました。しかし小学校以来英語で授業を受けたことのなかった私は図書館に夜遅くまで残り、毎日の課題を読むだけで精一杯でした。周りの友人は簡単に課題をこなしていたのでとても心細かったのを覚えています。読む課題をたくさん出すある教授は次回の課題の7つのうちこの2つを読みなさい、という風に配慮をしてくださいました。更に1年生の時には政治学の教授のお計らいでwriting centerのディレクターの方に毎週お世話になっていました。Thesis sentenceの書き方からparagraphの構成、最後のまとめ方、と全てを習いました。こんなにも手厚いサポートを受けられたのもまだ8月の授業が始まって間もない頃に教授が私の困惑に気づき手を差し伸べて下さったからです。小さいクラスサイズのリベラルアーツならではのことだと思います。
また、意外と苦労したのが数学。高校3年間をずっと日本で過ごした私は、あのアメリカの大きな電卓 (graphing calculator) を使ったことがありませんでした。最初の数週間はその電卓の仕組みを理解しようと随分と無駄な時間を過ごしたものです。結局は諦め電卓なしでやり通しました。でもその分宿題は時間がかかったように思います。
さて、大学生活をこれから始める方に私がまずお勧めしたいのはpre-orientationに参加することです。ハミルトンではオリエンテーションの前に近くのAdirondack国立公園で有志参加のキャンプがあります。同時期に留学生オリエンテーションがあったのでどちらにしようか悩んだのですが、面接で会った卒業生の方からこれに参加しなかったのが心残りだった、と伺い参加を決めました。私はとことん文化系だったので心配でしたが、本当に楽しかったですし、今でもこの時のグループの友人と親しくしています。
次にお勧めしたいのはチームスポーツに参加することです。私はいくつかのintramural teamに所属をしていたのですが、先にも述べたように運動が得意ではないので欠席したり、行っても友人と喋っていたりと胸を張って参加したとは言えませんでした。そんな中カーリングのチームに入ってみました。練習したり遠征試合に行ったりとアスリートらしい生活を送るようになり友人の輪も広がりました。チームに参加してからは自らジムにも通うようにもなりました。
三つ目のお勧めは言語の授業を取ることです。どの言語の授業でもほぼ毎日授業があるだけではなく食事を一緒にする機会もありとても絆の強いコミュニティです。私はフランス語を取っていました。毎日みんなと朝ごはんを食べながら予習復習を共にし、週に一度は教授と夕飯を共にしていました。
そして最後にお勧めしたいのは教授のoffice hourを活用することです。初めは授業中に分からないことがあっても聞きに行くのが恥ずかしく、入念に準備をしてから訪ねていました。でも私も教員になった今言えるのは、教える側の人間にとってはどんな些細な質問でも助けがいがあり、やる気を受け止めるということ。ハミルトンの教授は皆教えること、生徒を助けることを有意義な時間の過ごし方だと思ってくださっていた様に感じます。1年生の8月の私にそっと教えてあげたいです。