航海図を持たずして航海できるようになる
4年間の留学は良い意味で私の期待を裏切るものでした。生徒が書いた論文の文章よりも多くのコメントを余白に記載した上で、各論文につき1時間の会議をそれぞれの生徒と設ける英文学教授や、インデイアナ州議会に20年以上通い、生徒を議会に引き連れて環境政策を推進するロビー活動を行っている政治学教授などが指導する授業は、少人数制だからこそできるものであり、学問を修める場としてこれ以上はないと思える程、恵まれた環境でした。彼・彼女らが指導して下さった授業が面白かったことは勿論のこと、「私もこのように在りたい」と思わせてくれる、職業への熱意や魅力的で首尾一貫した生き様に触れることができた体験は私にとって財産です。そして、何より多くの尊敬する友達と出会う事ができました。自分達の夢を叶えるべく、日々奮闘する友人達と寝食を共にすることができた4年間の生活はこの上なく充実したものでした。
卒業後の仕事
現在、証券会社の投資銀行本部(M&A Advisory部署)で働いています。父親の仕事の都合で、4歳から10歳まではタイ、14歳から17歳の時に南アフリカ共和国のダーバンに滞在していたのですが、その時の経験より、ゆくゆくは発展途上国で活動する起業家を経営・財政的に支援する事で、社会的利益と経済的利益の両立を志す投資団体に身を置きたいと考えております。
リベラルアーツについて
ある卒業生の方から、リベラルアーツの良さとは「航海図を持たずして、航海できるようになること」だと言われたことがありますが、特定の分野の知識を吸収するだけでなく、デイスカッションと論文を中心として自分の考えを論理的に表現することが要求された経験は、既存の解があてはまらないイシューに直面した際に、大いに役立っていると思います。
周囲にリベラルアーツに進学した人がいなかったため、留学前は幾分か不安を抱えていましたが、選びなおすことができたとしても再度リベラルアーツに進学したいと思える程充実した学部生活を過ごすことができました。
(2016年記)