Williams College
Climb high, Climb far
About
ウィリアムズ大学はニューヨーク州オルバニーに程近いマサチューセッツ州ウィリアムズタウンに位置するリベラルアーツカレッジ。長年全米リベラルアーツランキング1位を保持する。大学は、学業・生活・課外・経済とすべての面でこれ以上ないほど生徒を手厚くサポートする。何においてもハードワーキングな生徒・教授が集い、コミュニティを大事にする環境で、学生として、そして人間として大きく成長することができる。
目次:
1. About Curriculum (どんな学び?)
ウィリアムズ大学に必須授業はなく、3つの分野、理系・社会学系・アート/言語系それぞれから3つ以上のクラスを履修すること・writing skillsと定められたクラスを分野問わず2つ以上履修することが主な卒業条件となっています。幅広い興味分野を持つ生徒が多いウィリアムズでは、特別気にすることなく自然に取りたいクラスを取っているうちに皆この条件を満たしているようです。一年生のみ、のように学年が制限されるクラスがないのも印象的。下級生にも取りやすい、や、上級生推奨、などはあるものの興味と熱意次第でどんなクラスにも挑戦できます。ウィリアムズのアカデミック面で何より特徴的なのは、チュートリアルと呼ばれるクラス。教授一人に対し生徒二人で授業が進められる、この上なく贅沢な学びの場です。教授と生徒が毎週のエッセイ等を通して興味分野への理解をどこまでも深めます。このクラスの存在自体が、いかにウィリアムズが生徒の深い学び、そして少人数制に価値を置いているか象徴しているでしょう。
また、経済学や数学、生物学、政治学等に秀でているといわれながらも、アートヒストリーや音楽にも大変力を入れる姿勢もウィリアムズの特徴といえます。古典からモダンまで揃った美術館がキャンパス内外に三つもあり、アートヒストリーに関しては、小規模ではありますが開発経済学とともに大学院も併設しています。音楽院の進学と迷った末ウィリアムズに進学する生徒もいるほど音楽面においても優れた生徒が集い、Let it goでオスカーを受賞したクリステン・アンダーソン・ロペスもウィリアムズの卒業生です。
ウィリアムズは、どんな分野においてもどこまでも広く深く経験し、学ぶことのできる非常に恵まれた環境だと感じます。
2. About Students (学生の雰囲気は?)
裕福な白人が比較的多いことは他の米国私立大学と同様ですが、ウィリアムズの生徒のバックグラウンドの特徴としては、ファーストジェネレーションと呼ばれる生徒の割合が高いことが挙げられます。ファーストジェネレーションとは、家族の中で初めて大学に進学する生徒のことを指し、多くの場合経済的に大学進学が困難な生徒が、ウィリアムズの豊かな奨学金のサポートによって大学進学を果たしています。また、ファーストジェネレーションの生徒は留学生と同じ時期、つまり他の生徒より数日早く、入学し専用のオリエンテーションに参加します。さらに、入学前の夏休みにファーストジェネレーションの生徒などunderrepresented の生徒を対象としたサマープログラムも完全無償で行っており、ウィリアムズの支援の手厚さが感じられます。また、私自身にとっても、教育格差が広がるアメリカで誰よりも平等や公平性に敏感な彼らとの交流は非常に刺激的な経験となりました。
また、生徒にのみならず、教授や大学のあらゆるオフィスの方々にも当てはまりますが、”ウィリアムズの生徒はとにかく大変”という共通認識があります。学業・課外ともに大変すぎる、という文句に使われるのではなく、在学中当たり前になっていくがゆえに忘れがちな「あなたたちは大変なことを成し遂げている最中なんだよ」ということを思い出させるために使われることがほとんどです。自分に厳しく向上心の強い、成功してきた生徒が集まる環境で、初めて劣等感や失望を感じ戸惑う生徒は少なくありません。周りの目を気にする生徒が少なく、あからさまな競争心がみられにくい居心地の良いコミュニティですが、生徒自身が自分に課すレベルの高さは目を見張るものがあります。そして、ふと周りを見渡すと誰もが素晴らしく優秀で、自分がここに属しているのか不安になる生徒も。そんなときに、友人や教授、カウンセラーなどが“ウィリアムズは大変”と声をかける風潮は、ひとりひとりを認めるウィリアムズらしい文化だと思っています。
3. Being in the U.S. (留学生への支援は?)
留学生の比率は特別高くはありませんが、多様性はとても高いです。特定の国や地域に偏る傾向が見られないため、留学生同士が仲良くなりやすく、留学生コミュニティはかなり活発です。渡米すると、留学生オリエンテーションから大学生活が始まり、そこでの小グループ等で出会う先輩や同級生はその後も頼りあえる心強い人たちとなります。銀行口座開設やビザの手続きはもちろん、留学生にとって持ってくることが困難な布団や枕等を用意してくれたり、到着後すぐWalmartに一緒に行き、日用品や学用品を揃えるのを手伝ってくれたりと、至れり尽くせりな数日間です。
また、メンターシステムがあり、一対一で定期的に相談やおしゃべりができる上級生とペアリングしてもらえます。さらに、学校側が希望する留学生とホストファミリーをつなげてくれるのもうれしい仕組みです。大学の周辺に住む人の多くが学校関係者のため、教授の家族がホストファミリーになってくれることも少なくありません。定期的に”ホーム”な環境でご飯を食べたり一緒に出かけたりできるだけでなく、自分の興味分野とはまた異なった教授と関係を築ける良い機会にもなり得ます。留学生専用のDeanと呼ばれるスタッフもおり、ビザや携帯電話のシムカードから生活面、精神面までケアしてくれます。
印象的な授業
- PHIL115 Personal Identity
あなたが5分前のあなたと同じだと、どうしたら証明できる? - ASST220 Being Korean in Japan
在日コリアンの歴史と現状についてアメリカで学ぶ。
- ENGL138 What is a Self?
文学を読むことは、ひとの人生や考え方を知ること。
4. About Extracurricular (課外活動は?)
課外活動への力の入れ方は非常にさまざま。オーケストラやvarsityとよばれる学校を代表するスポーツチーム、自分のバックグラウンドに関係する団体、outing clubと呼ばれるウィリアムズでは非常に活発なアウトドアクラブなどで活動し、大学生活の多くを費やす生徒もいれば、教授との研究に熱中する生徒もいます。
5. About Student Life (どんな生活環境?)
ウィリアムズは田舎としか表現しようのないのどかな地域にありますが、薬局や本屋、いくつかのレストランやカフェ、夏場のアイスクリームショップなどは徒歩圏内にあります。スーパー等も車で数分のところに位置し、amazonに依存しがちなアメリカではそこまで困らない印象です。学校周辺の利便性が低い分、学校自体が夜のスナックを用意したりイベントを頻繁に開いたり多くの工夫をしてくれていると感じます。また、東海岸に位置することもあり、ボストンやニューヨークへ週末・連休を使って電車・バス・車で比較的頻繁に訪れることができます。
キャンパス周辺での過ごし方
治安面では、ウィリアムズ以上に安全な地域があるのだろうかと思ってしまうほど安全です。夜遅くまで勉強し夜中に寮に帰る時も不安を感じることはなく、つい友人と話し込んでしまった明け方についでに日の出を見に行こうと散歩に出られる、そんな環境です。
My Trip to Boston (私のボストンビジット)
友達とのドライブも楽しみのうち!
ThanksgivingにBlack Fridayショッピングへ行ったり博物館を訪れたり、火鍋やチベット料理を食べたり。高い建物に囲まれや公共交通機関を使うだけで新鮮な気分になっちゃいます。
6. Good things about Williams (プチ自慢)
田舎なこともあり、豊かな自然を生かしたスポーツやイベントがもりだくさんです。ウィリアムズに入学して初めて、ダウンヒルスキー、クロスカントリースキー、スノーシューイング、バックパッキング(バックパックを背負って山登りやキャンプ)、ロッククライミングに挑戦できました。それら全てはouting clubによってサポートをされ、必要なウェアやグッズなどは全て無償で貸し出してもらえます。バックパッキングは全生徒向けで行われたオリエンテーションで経験し、数日間に渡り山で同級生と過ごすのは非常に貴重な経験でした。
アウトドアに限らず、さまざまな挑戦をサポートしてもらえるのはウィリアムズの強みかもしれません。秋学期にはジャズピアノのプライベートレッスンを受けたり、チェロの伴奏をつとめたりしました。レッスンは学校が費用をまかなってくれるうえ、伴奏はお仕事とみなされるためバイト代をもらえます。
また、夏休みの期間に教授と研究する機会やキャリアセンターでのインターンなど、一年生に対しても選択肢が非常に豊富なのは少人数制ならではの良さだと思います。自分でプロジェクトを行ったり語学留学をしたりする場合も経済面含めさまざまな補助が受けられることに驚きました。
さらに、一月に行われるwinter studyでは秋・春学期とは一風変わった授業が設けられます。物理と一言で言っても、教科書を使って公式を学ぶのではなく、身の回りのものを全て分解して自分で新たなものを組み立ててみるクラスだったり、現代アーティストが教授として教え、一人に行うインタビューをもとに形を問わず自由なアートに挑戦するクラスだったりが揃い、成績がpass/failのみで評価されることもあり、生徒が思いっきり未知の分野へ挑戦できる格好の機会となっています。
7. One day in Williams (自分の一日)
平日はクラスに合わせて起床、徒歩で授業へ。18時にはほぼ全ての授業が終わります。多くの部活動は夕方に始まり、空き時間は図書館で自習をする人も多め。夜ご飯のあとは、深夜2時まで一番大きな食堂で、バラエティに富んだ夜食を食べられます。基本的に夜型の学生が多い印象だが、朝も開いている建物があるので、朝勉強したりジムに行ったりする学生もいます。授業のない時間は、それぞれキャンパスでの仕事や宿題、課外活動などを行います。
(参考) Figures of Williams 数字で見るウィリアムズ大学
- 40%程度の生徒がダブルメジャーで卒業:自分が予想もしていなかった専攻で卒業した!と語る先輩が多いことも印象的。リベラルアーツのおもしろさかもしれません。
- 64の学術分野、25の学科と36の専攻:経済学やCS、数学などの主要な学科はもちろん、アートヒストリーやアラビア語、古典やアジア系アメリカ学など珍しい学科が多いのも特徴です。
- 合格率13%:留学生に対してはより低いといわれていますが、early decisionとよばれる出願方法で入学する生徒が半数近いことからも志望度の高い生徒の多さを示しています。
- 留学生10%強:毎年着実に増えています!
著者:関本椎菜(せきもとしいな)
Williams College 2023・専攻未定・グルーバンクロフト基金奨学生・桜蔭高校卒
Contact Info: Facebookまたは shiinasekimoto(at)gmail.com ※(at)は@に置き換えて下さい。