Wesleyan University

枠にとらわれない、芸術家揃いのユニーク集団

About

ウェズリアン大学は、コネチカット州・ミドルタウンにあるリベラルアーツカレッジ。ミドルタウン自体は小さな街だが、大都市ニューヨークとボストンのちょうど中間地点に位置しており、学期中は勉強に集中し、週末や長期休みは都市でリフレッシュするというメリハリのある生活ができるのが魅力的だ。分野を横断した学びの機会が多くあり、ウェズリアン独自の専攻も多数、存在する。例えば、歴史・政治・経済・社会理論学を組み合わせたCollege of Social Studiesや、科学やテクノロジー、医療が社会との関係性の中でどのような発展の歴史を辿ってきて、今後どのように応用され得るかを歴史・哲学・倫理・社会学等の観点から分析するScience in Society等だ。さらに、ブロードウェイ・ミュージカルの「イン・ザ・ハイツ」や「ハミルトン」の制作・出演で有名であるリン=マニュエル・ミランダの母校であり、舞台芸術・映画学等のアートの分野でも、全米でトップレベルの授業が展開されている。

目次:

1. About Curriculum (どんな学び?)

必修科目がないオープンカリキュラムを導入しているため、自分の好きなようにカリキュラムを組み立てることができる。柔軟性の高い制度のもと、ダブルメジャーやトリプルメジャーをする生徒が多く、エクセルに4年間を通じて、どの時期にどの授業を履修するかプランニングをしている光景をよく見かける。また、教授の性格・指導方法・研究内容に高い関心を持つ生徒が多く、授業選択の際には、Our Campusというウェズリアン独自のアプリで各授業・教授のレビューを確認したり、上級生に話を聞いたりして、自分に合う授業を選択する。

授業を通じて、学生に、読解力・分析力・文章構成力等を上げて欲しいと真に願う教授も多い。先学期履修した、Introduction to International Politics(国際関係学入門)の授業では、冷戦の原因について分析するペーパーの課題があったが、私の教授はペーパーの再提出を認めてくれた。1度提出し、教授から得たコメントを基にリバイズをし、2回目に提出したものが最終成績となった。また、上で述べたCollege of Social StudiesやScience in Societyに代表されるように、分野横断的な学びの機会が多い。ウェズリアンには、自主性と熱量次第で、どこまでも高みを目指すことができる環境が整っている。

最も印象的だった授業

冬に履修したApplied Data Analysis (統計学)の授業。統計手法を履修した上で、各自、自由にリサーチテーマを決め、習ったことを応用するプロジェクトがあった。私は、家族の経済状況と若者の健康状態を保険の加入状況等を加味して分析した。最後は、ポスターセッションも行い、とてもInteractiveで充実した授業だった。

2. About Students (学生の雰囲気は?)

舞台芸術・映画学等のアート分野を強みにしていることもあり、クリエイティブな生徒が多い。多くの学生が、セカンドステージと呼ばれる、生徒が全てを手掛ける演劇・ミュージカル公演に関わっている。神経科学とシアター等、ユニークな組み合わせを専攻にしている学生が多いのも納得だ。また、性的マイノリティの割合も多く、ほとんどのバスルームがジェンダーニュートラルである。リベラルな学生が多く、問題を発見したら、恐れずに声を上げ、改善・解決しようとする姿勢がよく見られる。直近の例では、生徒の要望で夏の期間、住むことができる寮にオプションができた。当初、夏休みの間、キャンパスに残っている全生徒は2つの寮に住む予定だったが、それではコロナ下でソーシャルディスタンスを取ることが難しく、さらに小さなキッチンを皆で共有するのは危険性が高いということで、署名を集め、学校側にアパートスタイルの寮(キッチン、トイレ、バスルーム、自部屋が備わっている)も開ける事を要求し、これが実現したのだ。学校側も、生徒の意見や要望を最大限取り入れる柔軟な姿勢があるため、生徒が声を上げやすい土壌がある。

3. Being in the U.S. (留学生への支援は?)

Cardinal Kitchenの活動で作ったカツカレー(日本食)とエビトースト(韓国料理) Cardinal Kitchenの活動で作ったカツカレー(日本食)とエビトースト(韓国料理)

学生の10%が留学生であるため、留学生への支援は手厚い。新入生が入学する前に、International Student Orientationがあり、他の留学生と仲良くなることができる他、銀行口座の開設を手伝ってくれたり、新生活に必要なものを揃えるためにショッピングに連れて行ってくれたりする。特に、今回の新型コロナウィルス下では、サポートの手厚さを実感した。春学期、他の多くの大学同様、オンライン授業に移行し、帰宅できる生徒は帰宅したが、様々な事情でキャンパスに残らなくてはならない生徒(多くは留学生)は、引き続き寮に住むことができた。さらに、マスクやハンドサニタイザー、シャンプー、石鹸、歯ブラシ、ティッシュ等の生活必需品を必要に応じて調達できる(無料)ブースも設けてくれた。私は、夏休みも寮に残る決断をし、通常であればお金を支払わなくてはならないところを、コロナの影響を鑑み、寮費+食費を免除してくれた。多くの留学生が、同様の措置を受けたようだ。2020年、秋学期はハイブリッド(オンラインと対面の混合)で授業が展開されるが、それに伴い、ビザや入国後の隔離等についての留学生向けのインフォセッションも幾度となく行われ、留学生の不安や質問を一つずつ解消してくれた。

4. About Extracurricular (課外活動は?)

フリーマン奨学生同期と。フリーマン奨学金は毎年アジア 11 カ国から 1 人ずつに学費全額を提供。 フリーマン奨学生同期と。フリーマン奨学金は毎年アジア 11 カ国から 1 人ずつに学費全額を提供。

私は、フリーマン奨学生*の集まりであるFreeman Asian Scholar Associationに参加し、委員会の1年生代表を務めている。委員会では、フリーマン奨学生の交流の機会として、多くのイベントを企画する。秋学期は、11カ国の代表的な食べ物を売り、団体の活動資金を集めるためのファンドレイジングを行った(毎年1年生が担当する)。

他には、学期に2回、皆が食べ物を持ち寄るポットラックを行ったり、ボーリングやりんご狩りに行ったりと楽しいイベントが盛り沢山だ。また、ブログ運営も行っており、フリーマン奨学生で卒業生の社会人にインタビューをしたり、現在の奨学生を紹介したりしている。自らクラブを始めることも難しいことではない。私は、今年から、Cardinal Kitchenという料理・ベイキングのクラブを始める。自粛期間に一緒に料理をしていた親友2人と、日常会話の中で活動の案が広がり、クラブの立ち上げに至った。学校全体としては、上記でも述べたが、ミュージカル・演劇・アカペラ等のクリエイティブ系のクラブが活発である。

5. About Student Life (どんな生活環境?)

ウェズリアンの春は桜が綺麗 ウェズリアンの春は桜が綺麗

ウェズリアンが位置するミドルタウンは、とても落ち着いていて安全な街だ。小さいリベラルアーツカレッジならではの特徴で、図書館と各寮が徒歩5分の距離であり、警備もしっかりしているため、勉強後、深夜にキャンパスを歩いていても身の危険を感じることはない。

大学から10分程歩くと、メインストリートと呼ばれる大通りに到着し、小さな街が広がっている。道路沿いには、多種多様なレストランが並んでおり、週末は、気分転換にメインストリートでブランチをする学生を多く見かける。キャンパスにもWes Shopと呼ばれるコンビニがあるが、毎週水曜日と日曜日には、近くのスーパーマーケットに無料のシャトル(約5分)が出ているため、生活に必要なものを調達する上で困ることはない。キャンパスは自然に囲まれていてとても美しく、気づいたらふと毎日写真を撮ってしまうほどだ。

6. Good things about Wesleyan (プチ自慢)

キャンパスには映画館があり、日曜日を除いて毎日、昔の有名映画を無料で、毎週木曜日には、最近の映画を$5で上映している。また、ウェズリアンの食堂は、美味しいことで有名だ。これも、数年前、ダイニングの食事を改善して欲しいという生徒の署名により、達成されたことらしい。バイキング形式のUsdanでは、特に、モンゴリアングリルという、好きなプロテインと野菜を炒め、ご飯と一緒にサーブしてくれるセクションで、毎日長蛇の列をなしている。キャンパスにはアマゾンロッカーもあり、アマゾンから購入したものはそこに配達され、番号を入力するだけで簡単に荷物をピックアップすることができるため、とても便利だ。ここまで、生活面の良さを述べたが、学生も、自分のやるべきことに集中し、協力的でオープンな性格の人が多いため、居心地が良い。一学年700人と小さすぎず大きすぎない規模感で、リベラルアーツならではの少人数授業やタイトニットなコミュニティが存在する一方、大学院・PhDプログラムがあるので、学部生にも研究の機会が多い等の良さも兼ね備えた、バランス感抜群の大学だ。

7. One day in Wesleyan (自分の一日)

8:00 AM: 起床・準備
8:30 AM: Pi Café*で朝食・勉強
10:10 AM: データ分析の授業
12:00 AM: Wes Shop(コンビニ)で昼食購入(お寿司がある!)
1:20 PM: フランス語の授業
3:00 PM: Pi Café*で翌日のIntroduction to Psychologyの予習
5:00 PM: Usdan*で友人と夕食(バイキング形式)
7:00 PM: ジム(課題に余裕がある時)
8:00 PM: 所属するFreeman Asian Associationのミーティング
9:00 PM: Olin Library*で勉強
11:00 PM: 帰宅・シャワー等就寝準備
11:45 PM: 就寝

*キャンパスではUsdan(バイキング)・Summerfields /Weswings(レストラン・オーダー形式)・Pi Café(カフェ)の4つの場所で食事ができる。ミールプランはスワイプ(食券のようなもの)とポイント(1スワイプ8ポイント)の組み合わせで、ダイニングによって使い分ける。上級生になると、ポイントの割合が高いミールプランを選択することができるようになる。これは、3・4年生はアパートや家に住むため、各自のキッチンで料理をする機会が増えるためだ。大きな図書館は2つあり、Olin LibraryとScience Library (Sci Li)だ。Olinは私語禁止故一人で集中したい時に、Sci Liでは喋ることができるため、グループでプロジェクトを進める必要がある時に使う。

(参考) Figures of Wesleyan 数字で見るウェズリアン大学

  • 8:1 学生-教授比率
  • 20% 白人でない教授の割合。多様性を重視している大学だ。
  • 100-150人 毎年、Graduate Liberal Studies(ウェズリアンの大学院)に進学する生徒数。リベラルアーツカレッジで大学院・PhDプログラムも備えている学校は少ない!これが、学部生の研究の機会の多さも説明する。

著者: 上野蘭晶(うえのらんしょう)。

渋谷教育学園渋谷高等学校・Wesleyan University Class of 2023・フリーマン奨学金・孫正義育英財団・Double Major in Science in Society and Government, and minor in Data Analysis

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