Vassar College

美しいキャンパスで優しく受容的な生徒と作る自分らしい学際的な学び

About

マンハッタンから 1 時間半ほどの郊外、ニューヨーク州ポキプシーに位置するリベラルアーツカレッジ。キャンパスの美しさは有名で映画撮影もしばしば行われるほど。米国東部名門女子大学群セブンシスターズの一校に名を連ねるが、その中で唯一 1969 年に男女共学化した。卒業生には鹿鳴館の花と謳われた大山捨松やアカデミー賞俳優のメリル・ストリープ、一時在籍生にはファーストレディのジャクリーン・ケネディや女優アン・ハサウェイらがおり、卒業生は芸術面から社会面まで幅広く活躍している。多様性の尊重や持続可能性を大事にするリベラルな校風。新しい専攻や授業の確立など常に進化し続ける学術プログラム、分野横断型の学びを重んじる教育も魅力。

目次:

1. About Curriculum (どんな学び︖)

メジャーの数とメリット・デメリット

メジャーの数が多く、また自分で専攻を作る Independent major もあるので生徒の希望通りの自分らしい学びを構築することができます。デメリットとしては、魅力的な専攻が多すぎて、選ぶのに迷うということがあげられるかもしれません。

オープンカリキュラムと分野横断型の学びが特徴です。オープンカリキュラムは必修がほぼなく、生徒が自由に自分らしいカリキュラムを組み立てられる制度のこと。(アマースト大学、ウェズリアン大学、グリネル大学などで導入されているものと同様です。)ヴァッサーの場合、必修は First-Year Writing Seminar、Quantitative requirement、Language requirement の3つのみです。First-Year Writing Seminar は一年生がアカデミックライティングを学ぶライティングの宿題が多めの授業で、科目は地学から宗教学、芸術史まで様々な分野からの選択制です。Quantitative requirement は理系、または数学(経済含む)の授業を1つ卒業までに取るというもの。Language requirement は第二外国語を1年間学ぶという要件ですが、留学生など英語以外の言語を話せる生徒は免除になります。

ヴァッサーの学業面のもう1つの特徴は分野横断型の学びを推奨
していること。国際研究やメディア学、環境学など複数の分野を複合した専攻がたくさんありますし、複数の分野がコラボレーションした授業も豊富です。(例:宗教学✖芸術、フランス語✖政治学など)ダブルメジャーをしている生徒も多く、中にはトリプルメジャーをしている生徒もいます。また、ロシア語や心理学、演劇の授業や認知科学専攻を初めて導入した大学の1つとして知られるなど、教育に対して革新的でフレキシブルな姿勢も見られます。

2. About Students (学生の雰囲気は?)

多様性を受け入れる優しく温かいコミュニティです。社会経済的地位、人種、国籍、ジェンダーなどの面でとても多様ですが、個々人がその多様性に寛容で、自分の価値観を一方的に押し付けることはない印象です。大学も多様性の受容を推進しており、そのための生徒・教授・スタッフからなるイニシアチブがあって様々なイベントを企画していたり、お手洗いはほぼ全てジェンダーニュートラルだったりします。政治的にはとてもリベラルで、環境保護やジェンダー・人種差別などの社会正義に関する課題に
はとても関心を寄せています。また余談ですが、芸術面の才能にも秀でている人が多い気がしています。肌感覚ですが友人はみな、絵が描けるか、何かしらの楽器が弾けるか、歌が上手いです。

ジェンダーニュートラルとは何か

男女の性差や男女別の役割意識・バイアスに囚われない考え方。LGBTQ の方など性的マイノリティ含め、すべての人に対して
受容的であるということ。ヴァッサーではジェンダーニュートラルのお手洗い(生まれ持った男女の性別に関わらず、すべての人が共用)はじめ、LGBTQ センターの設置など、多様性に対してより包括的なコミュニティになれるよう取り組んでいます。

3. Being in the U.S. (留学生への支援は?)

寮の友人とオリエンテーション期間に。それぞれの寮(ハウス)への帰属意識が高く、さながらハリー・ポッターのよう。 寮の友人とオリエンテーション期間に。それぞれの寮(ハウス)への帰属意識が高く、さながらハリー・ポッターのよう。

留学生へのサポートはとても手厚く、安心して勉強・生活できますし、何か有事の際にも大学がしっかり対応してくれるだろうという安心感があります。留学生へのサポートを主に行っているのは Office of International Services(以下 OIS)という機関で様々な企画を行っています。例えば、留学生の新入生はアメリカ人含め新入生全員へのオリエンテーションが始まる前に、3日間の留学生用のオリエンテーションがあります。そこで留学生の友達、コミュニティができますし、先輩方が留学生ならではの課題(勉強や英語でのつまづき、留学生への無意識のバイアスや差別など)やそれについての経験談・対処法について共有してくださいます。

また、OIS で働く学生インターンが留学生用の様々なイベントを年間を通して開催してくれたり、ラウンジに毎日誰かしらがいて相談に乗ってくれます。OIS の職員の方も学生と距離が近く、何かあったらメールかアポイントですぐに対応してくれます。これは留学生への支援とは少しずれますが、Student Fellow Group という新入生への支援制度もあります。寮の同じ階に住む 1 年生 10 名ほどとお世話をしてくれる 2 年生(Student Fellow と呼ばれる)が同じグループとなって、オリエンテーション期間を一緒に過ごしたり、1学期中は毎週チェックインセッションを行ったりします。おかげで同じグループの生徒とはとても仲良くなりますし、授業の履修や人間関係で困った時などは Student Fellow にも頼ることができ安心です。

4. About Extracurricular (課外活動は?)

Consortium on Forced Migration, Displacement and Higher Education で強制移住とメンタルヘルスについてのカンファレンスを開いたとき Consortium on Forced Migration, Displacement and Higher Education で強制移住とメンタルヘルスについてのカンファレンスを開いたとき

課外活動の種類は多いと思います。珍しいものだと、サーカス、クディッチ(ハリーポッターのあれです)、ボリウッドダンス、競技フリスビー、ボート競技(ローイング)などでしょうか。演劇・音楽・芸術系は特に盛んで、演劇グループは 10個弱、ダンスグループも複数ありますし、約10のアカペラサークル、3 つの合唱団、オーケストラ、ジャズバンド、無数のアンサンブルグループがあります。逆にスポーツは NCAA の第3部リーグ所属でそこまで強くありませんし、フットボールやチアダンスもありません。

筆者は、ハイチの開発支援を行う NPO Vassar Haiti Project、難⺠支援やアドボカシーなどを行う Vassar Refugee Solidarity、日本文化サークルに参加しており、それぞれ週に 1〜3回の活動です。他にも学生運営の課外活動ではありませんが、学内での多様性の受容促進を目指すイニシアチブ Engaged Pluralism Initiative や高等教育機関の視点から難⺠問題に取り組む複数大学のコンソーシアム Consortium on Forced Migration, Displacement and Higher Education の活動も手伝っています。筆者のように細かい課外活動を複数掛け持つ生徒もいれば、コミットメントの大きい課外活動1つ(オーケストラや演劇など)に専念する生徒もいれば、課外活動にはほぼ参加しない生徒もいて様々です。

必要な防犯上の心得は?

日本よりは治安の悪いところに住んでいるという意識を持って行動すること。例えば戶締り、夜はキャンパス外に一人で出歩かない、大学のセキュリティサービスの電話番号や利用方法を把握しておくなどです。心がけさえすれば安全に暮らせるかと思います。

5. About Student Life (どんな生活環境︖)

郊外の分類に入るかと思います。ニューヨーク州ポキプシーに位置しており、マンハッタンからは電車で 1 時間半ほどの静かな街です。夜に一人で出歩くなど不注意なことをしなければ治安も問題ありません。大学から歩いてすぐのところに小さな商店街があって本屋やカフェ(カプチーノやチャイスムージーが美味しくて本当におすすめ。HP:http://thecraftedkup.com)、小さなスーパーやレストランがあります。

大学の玄関口。Welcome Class of 2023 のバナーとともに。 大学の玄関口。Welcome Class of 2023 のバナーとともに。

やはり一番に思い浮かぶのは人の温かさとキャンパスの綺麗さではないでしょうか。とにかく人が優しい!人を受け入れ、人に尽くそうとしている人が多いと思います。例えば筆者のルームメイトは見返りも求めず、ずっとアカデミック英語が不得手な私のライティングを添削してくれていたし、ある教授は入学すぐの頃、留学生であることを少なからずコンプレックスとして抱えていた私に、「留学生であることをネガティブに捉える必要は全くない。多様性は⻑所だ。」とおっしゃってくれました。図書館には「In Diversity, there is beauty and there is strength.」という Maya Angelou の言葉が掲示されています。

またキャンパスは本当に綺麗です!(筆者の写真があまり良くなくて申し訳ないです。気になる人は Vassar College で検索!)繊細で優美な建築と湖や森林など自然豊かなキャンパスはどこにいても幸せな気分になります。約 1000 エーカーの敷地は樹木園でもあり、全米で最も美しいキャンパスの1つに選ばれています。花が咲き乱れる春、美しい緑の中屋外で勉強・遊ぶ夏、紅葉で朱・橙に染まる秋、雪のきらめきに目を奪われる冬。シェークスピア作品に登場する植物を集めたシェークスピアガーデンも素敵です。

ヴァッサーは日本でまだ知名度が低いですがとても素敵な大学ですので、ぜひ出願校リストに加えてみてください!(筆者は自身の大好きな「あしながおじさん」の著者がヴァッサーの卒業生だったことに運命を感じたところから始まり、キャンパスビジットで人の温かさ、学際的で革新的な学び、キャンパスの綺麗さに惚れました。)

6. Good things about Vassar (プチ自慢)

勉強時間 vs 睡眠時間 vs 遊ぶ時間

自分の体調を気遣いつつ、自分が優先したいことをやることが一番かと思います。私は睡眠が欠如すると機能できなくなるので、最低 6 時間は睡眠を確保するよう心がけています。その次に勉強時間を優先し、課題を自分が納得するまで行います。最後が遊ぶ時間となってしまいますが、幸い現在のところ睡眠時間・勉強時間を必要なだけ確保しても、自分にとっては満足できるほど遊ぶ時間を取れているので現在の生活には満足しています!

7. One day in Vassar (自分の一日)

ヴァッサー大学の図書館です。ヴァッサーは建築もキャンパス内の自然も本当に美しいです!この図書館内のステンドグラスもとても繊細に彫られていて素敵で、最高の勉強場所です! ヴァッサー大学の図書館です。ヴァッサーは建築もキャンパス内の自然も本当に美しいです!この図書館内のステンドグラスもとても繊細に彫られていて素敵で、最高の勉強場所です!

7:30 起床・フランス語の問題セットを終わらせる
8:45 朝食(豆腐ブリトーが美味しい。)
9:30 フランス語の授業
10:30 難⺠問題の授業
12:00 教育学の授業
13:30 昼食(同じ授業の友達とそのまま行くことが多い。)
14:30 寮の部屋で課題タイム(難⺠問題の授業のリーディング、教育学のペーパー、心理学の授業のテスト勉強など。この時間にオフィスアワーに行ったりも。)
18:00 日本語学科でのアルバイト(プリントを作ったり採点・添削したり)
19:00 日本文化サークルのミーティング
20:00 夕食
21:00 課題タイム(図書館でコーヒー片手にリーディングしていることが多い。グループワークの宿題のミーティングをしたり。)/自由時間(金曜夜など時間がある時はルームメイトとハリーポッターの映画やディズニー+を見る:))
24:00 就寝

Figures of Vassar 数字で⾒る数字で見るヴァッサー大学(参考)

  • 生徒数 2400+ (リベラルアーツカレッジとしては多い方かもしれませんが、リベラルアーツカレッジならではの
    教授や他の生徒と距離の近いきめ細かい教育はバッチリ維持されています。)
  • 生徒と教授の対比:8:1(教授との距離の近さは日々本当に実感します!)
  • 授業の平均サイズ 17 人(入門の授業は 20~25 人ほど、上級のクラスなどでは 5 人のクラスもあったり!)
  • 留学生(外国籍を持っている人)17.2%(最近は生徒の多様性を促進するために、より多くの留学生を合格させ
    ている方針のようです。)
  • 専攻の種類 51(分野横断型・包括的な教育を大切にする Vassar ならではかも!)

著者: 杉下はる(すぎしたはる)。東京都立小石川中等教育学校卒業・Vassar College Class of 2023・柳井正財団海外留学奨学金 3 期生

Contact Info: hsugishita(at)vassar.edu

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