Macalester College
多様性に富み、世界をより良く変えていくことに熱心な若者が集まるコミュニティ
About
ミネソタ州の州都セントポールに位置する小規模なリベラルアーツカレッジ。1874 年にInternationalism、Multiculturalism、そして Service to Society に重点を置いて設立されてから、今現在も全米トップクラスの教育、そして最も国際色豊かなコミュニティを提供している。卒業生には黒人初の国連事務総長として知られるコフィ・アナン氏、小説家のティム・オブライエン氏、MITの McGovern Institute for Brain Research でディレクターを務めるロバート・デシモン氏などがおり、幅広い分野において最前線で活躍している人材を輩出しています。アメリカ全土、そして約 90ヶ国から約 2000 名の生徒が在籍しており、様々なバックグラウンドを持った生徒に囲まれながら過ごす大学生活は多くの刺激に溢れています!
目次:
1. About Curriculum (どんな学び︖)
印象的だった授業
Seeing Performance in the Twin Cities (First-Year Course with Beth Cleary)実際にその学期に近郊で行われている舞台やパフォーマンスを観劇することはもちろん、実際のワークショップなども通して演劇、ダンスの進化や今ある社会との関わりについて奥深く学ぶことができました。
まず、マカレスターでは 39 の専攻の他、数多くの副専攻、Concentration があり、1年に約 800 のコースが提供されています。リベラルアーツの教育ということで、卒業するまでに社会科学、自然科学・数学、人文科学・ファインアートの分野で最低限の数のクラスを取る必要があります。その他には Internationalism Requirement、US Identities and Differences Requirement、Quantitative Thinking Requirement、Writing Requirement、Second Language
Proficiency Requirement といったものもあります。一見多くの条件があり自由に様々なクラスを取れないような印象を受けるかもしれませんが、1 つのクラスで複数の条件を満たせることもある他、第 2 カ国語に関しては留学生は免除されることもあり、専攻外でもかなり幅広くクラスを取ることが出来、ダブルメジャーをしている学生もかなり多くいます。
また、1 年生は必ず最初の 1 学期で First-Year Course を受ける必要があります。このクラスは他のクラスのように様々な分野でそれぞれ開講されており、クラスによっては受講者の部屋が全て同じフロア、または同じ寮にある場合もあるので、生徒同士でもお互い助けられるようなコミュニティができていきます。また、1 年生は大学と縁のあるスコットランド系の名前が付いたハウスに分けられるのですが、それぞれのハウスにはメンターとして上級生が数名付き、学期前のオリエンテーションだけでなくその後も継続してサポートを受けられるので、心配事があってもすぐに上級生に色々と質問をできる環境が整っています。
また、マカレスターが多くの他のリベラルアーツの大学と異なる点として、他大学で授業を受けることが出来るという点があげられます。地元の私立大学で組まれたアライアンスにある大学であれば、マカレスターで教えられていない授業(エンジニアリングなど)をその大学で無料で受けることが出来ます。その他にも、語学の授業であれば追加料金なしでミネソタ大学にて授業を受けることもできるので、リベラルアーツだからといって、選択肢が狭まってしまうことは全くありません。
卒業後約 65%の生徒が数年以内にメディカルスクールやロースクール、大学院に進むため、大学内での説明会なども頻繁に行われ、履歴書の書き方などの基本的なことから実際に出願するまで大学から様々なサポートを受けることができます。マカレスターには Pre-Med, Pre-Law, Pre-Engineering といったものは専攻としてはありませんが、将来その分野を目指す生徒達のコミュニティとして存在しており、多くの教授がアドバイザーとしてサポートをしています。他のリベラルアーツの大学でもよく見られるように、在学中専攻を何度も変える人は多いですし、実際にマカレスターでのダブルメジャーのしやすさがあることによって、全く違う分野の専攻でもどちらも諦めることなく深く学ぶことが出来る環境が出来ており、自分が興味がある分野以外でも知識を深めたい人、今将来何をやりたいか決め切れない人や、幅広く学んでから決めたい人にすごくおすすめだと思います。
マカレスター自慢の設備群
2. About Students (学生の雰囲気は?)
既に何度か書いたように、とにかく国際色が豊富で、多様性に富んだ生徒が集まっています。キャンパス全体でみてもリベラルな人がとても多いです。どの生徒も何かしら熱中できることを持っていて、一旦集中すると何時間もそれをやっているような人もかなり多く一見マイペースなのではと捉えられがちですが、きちんと学業とそれ以外のことを両立している場合がほとんどです。なので、ものすごく遊んでばかりに見える人の方が勉強が出来たりなんてこともよくあります。ただ、マカレスター生を見ていても、勉強ができるからといって天狗にならず、周りを尊重し常に周りから学ぼうとする姿勢、失敗する勇気、そして様々なことに挑戦する勇気を持っている生徒がとても多いので、本当にお互いを常に気遣い、助け合うコミュニティが出来ていると思います。
また、その時に起こっている国際情勢や政治情勢、環境問題などについて専攻関係なく議論する機会が多いことなどもあり、普段から多くの生徒がそういった問題の解決に貢献するためのボランティアや平和的なプロテストなどを行っています。やはり多くの学生を見ていて、できるだけ地域に貢献していきたい、世界を変えていきたいという思いがマカレスターの学生の共有点の 1 つとして挙げられるのかなと思います。実際に学校を通してインターンシップだけでなく様々なボランティア活動を見つけることもでき、その中には学校側が送迎を行ったりしているものもあります。
そんなマカレスターで友達を作るコツは?
授業の他には、部活に入ってみたり、学科や部門ごとでキャンパス中でかなりの頻度で誰でも参加できる交流会が開かれるので、そういったものに行ってみるのもおすすめです!みんな基本優しい人達ばかりなので、気軽にとりあえず話しかけてみるといいですよ!3. Being in the U.S. (留学生への支援は?)
マカレスターでは生徒全体の約 16%が留学生となっており、他大学と比べても若干留学生の割合が多いです。この中には二重国籍の生徒や在米歴が⻑い生徒も含まれているので、海外から実際に来ている生徒数となると 10%を切ってしまいますが、それでもかなり多くの留学生が毎年在籍しています。海外からの留学生だと留学生向けの Pre-Orientation が、国内生も参加する全体のオリエンテーションの前にあるため、留学生同士仲良くなることができます。そして 1 年生の留学生と国内生を対象とし秋学期を通して開催される Ametrica Project などもあるので、かなり早い段階から留学生、国内生関係なく仲良くなるケースが多く、実際に留学生が少ない、多いといったようなことを普段の生活で意識することはほとんどありません。
実際にマカレスターでは、渡航前にビザを取得するという本当に初期の段階から、卒業後にアメリカで就職する場合の手続き等といった段階まで留学生をサポートする体制が整っています。アメリカの社会保障番号の取得や銀行口座の開設などほとんどは Pre-Orientation 中に済みますが、それ以外にも納税、キャンパスでのバイト、インターンシップ等に関しても、ISP (International Student Programs)という部門があり、一つ一つ丁寧にサポートしてもらえます。
ISP には専門の職員の方だけでなく、上級生の留学生が必ずいるので、本当に些細なことでも気軽に質問をしに行くこともできます。卒業後の進路相談などで迷っていて職員の方に相談しにいったりすると、興味のある分野で活躍されている留学生だった卒業生の方を紹介してくれたりもするので、ものすごく頼りになります。また、週に 1 回くらいのペースで飲食物付きのイベントなども開かれるため、上級生の留学生や職員の方と話す機会も多くあります。
4. About Extracurricular (課外活動は?)
小規模の大学ですが、100 を超える学生団体があり、どの学生もそのうち 1 つだけに所属するというよりかは複数に所属しているパターンが多いです。スポーツ系のものだと、バスケや水泳、バレーボール、アメフトなどの典型的なものの他にもロッククライミング、ホッケー、クロスカントリースキーなどがあり、それ以外にもオーケストラ、合唱団、たくさんのアカペラグループや⺠族舞踊から社交ダンス、ヒップホップなどの多くのダンスグループ、コメディクラブ、釣りクラブ、アウトドアクラブ、ロケットクラブ等々、本当に幅広く選択肢があります。
今名前が出たものはほんの一握りに過ぎず、また、クラブ活動としてではなく、趣味で陶芸や演劇、木工などを学校内でやっている人や、学校側が開催する無料のワークショップに参加する人もかなり多くいます。著者の私はロケットクラブに参加しているのですが、実際に 10m を超えるロケットを製作して打ち上げたりするのでとても楽しんでいます。ちなみにスコットランドに縁があるということもあり、何かとイベントなどがあるとほぼ必ずバグパイプの演奏を聴くのですが、そんなマカレスターでは無料でバグパイプのレッスンを受けることもできますよ!
基本的にクラブ活動は純粋に楽しむことを目的にして活動しているので、大会に出たりするようなもので結果が悪くてもそれを気にしたりする人はほとんどいません。みんな本当に勉強から息抜きをするために大抵来ているので、周りを尊重しながら思い切り熱中している人が多いです!
また、大学では Program Board という学内のイベントを計画する学生組織があり、舞台鑑賞、スポーツ観戦、りんご狩り、テーマがあるダンスイベント、氷彫刻、オレオ食べ放題、動物と触れあえる会など、色々なイベントがかなりの頻度で開催され、ほとんどが無料なので、そういったイベントに息抜き代わりに行く人もたくさんいます。また、毎年Winter Ball という、美術館やスタジアムなどの構外の場所を貸し切って行うパーティーには多くの生徒が正装をして参加するので、中々日本では体験できないこともできるのかなと思います。
ちなみに…パーティーはみんな行くの?
人それぞれですね(笑)ある程度の人は行っています。上級生は飲酒できる人が多いので行っている人は多いですが、飲酒できない年齢だと入れるエリアが限られてしまっているので…でも、かなりフォーマルなのでそれを楽しみに行く人が多いと思います。5. About Student Life (どんな生活環境︖)
マカレスターはセントポールの中でも都市部に位置していて、近くにバスや路面電車の駅もあることから隣の市であるミネアポリスのダウンタウンに 30 分程で行くことができます。Uber を使えば 10 分程度かと思います。キャンパスは市内でも特に治安が良いエリアに位置しており、構内のセキュリティもかなり厳しいのでそこは安心できるかと思います。周りには多くのカフェ、レストラン、ベーカリーなどの他、Whole Foods、Target などもあります。公共交通手段が比較的整っていることから、週末に市外へ出かけたり、市外のインターンシップに参加している生徒も多くみられます。
近くには Mall of America や美術館、博物館、映画館、水族館などの他、自然を楽しむことが出来る大きい公園などもあります。また、アジア系の移⺠の方も多いことから、日本食レストランはもちろん、多くのアジアンマーケットやアジア系の料理を食べれるお店もあり、そのほかにもエチオピア料理やヴィーガンのレストランなど、食に困ることはほぼありません。また、大学内でもかなり幅広い選択肢が毎日あるので、外食とうまくバランスを取ってそちらの方も利用する人が多いです。
6. Good things about Macalester (プチ自慢)
まだまだたくさんマカレスター大学の良さはあるのですが、ここではもっと細やかなサポートや研究体制について主に話したいと思います。マカレスターは Need-Blind を以前採用していましたが今では Need-Aware を取り入れています。ただ、Need-Blind じゃないから Need-Based の奨学金がもらえないということでは全くありません。マカレスターでは入学者全員が必要な分をサポートするというシステムになっており、家庭環境や世帯収入が大幅に変わった際には、大学に相談することで奨学金の額を調整してくれたりもします。また、2020 年 3 月から本格化したパンデミックでは、全ての学生がオンラインで授業を受けられるよう大学側が必要に応じて生徒の自宅のネット環境を整備してくれたりなど、困っているときは相談をすれば色々な方法でサポートをしてくれます。
また、大学内では年を通して様々な研究が活発に行われています。これらの研究の多くも大学からの支援の他に National Science Foundation から支援を受けていたり、ミネソタ大学と共同だったりするものもあります。さらに、生徒個人で新しい研究を始められるようにそれを学術面、資金面の両点から支援してくれる制度もあるので、自分で研究してみたい分野などがある人にはすごくおすすめです。さらに、メイヨ―クリニックなども近いことから、メイヨ―クリニックでマカレスターの学生向けに行われるプログラムなどもあります。
さらに、キャンパス内には早朝から夜遅くまで空いている図書館やジム、プールなどの施設の他、ゲームやビリヤード台、ポップコーンマシンなどが揃ったラウンジなどもあります。特に図書館内にあるアイデアラボでは様々な工作用品や工具、布、ミシン、織機などを無料で使うことが出来、色々なものを作っている生徒をよく見かけます。ちなみに図書館では本格的なマッサージチェアが数台設置されており無料で好きなだけ使うことができるので、争奪戦になる時もたまにあります。(笑)そして、キャンパス内の建物の多くに色々な自習スポットがあるので、場所に飽きることなく勉強することもできます!また、冬が極寒のミネソタですが、キャンパス内は建物同士がスカイウェイなどを通して内部でつながっている場合が多く外に出る必要がないので安心してください!その他にもセラピードッグが週に何度か来てくれるサービスがあったりと、キャンパス自体は端から端まで歩いても 10 分かからない程度と小さいですが、キャンパス内で十分に楽しむことができるようになっているので、是非機会があれば一度キャンパスツアーに参加してみてください!
7. One day in Macalester (自分の一日)
1:00 AM: 就寝
8:30 AM: 起床
9:00 AM: 朝食(大抵フルーツとヨーグルトと紅茶など軽く済ませるが、他にもワッフルバー、ベーグル、シリアル、ソーセージ、スクランブルエッグなど、メニューは充実。)
9:30 AM: 日本語チューターとして他の学生に教える or 宿題を採点。(終わり次第自分のクラスの課題に取り掛かる)
11:20 AM: 昼食 (授業直後の生徒が来ると混んでしまうため、少し早めに昼食。カフェテリアの他に SUBWAY の様な売店、ギリシャ料理の売店、サンドイッチやパン、ハン
バーガーなどを売っている売店がある。)
12:00 AM: 発達心理学のディスカッションのための論文を読み意見を整理
1:10 PM: 発達心理学の授業
2:20 PM: 多変数微積分 3 の授業
3:30 PM: バレエ 4 の授業
5:00 PM: 寮の部屋に戻って休憩。
5:45 PM: 夕食(カフェテリア、サンドイッチやパン、ハンバーガーなどを売っている売店、メキシコ料理の売店の 3つから選べます。)
6:30 PM: ミネアポリス市にあるメイカースペースであるTwin Cities Maker へ行く
8:30 PM: 寮に戻り、勉強道具をまとめる。
8:45 PM: 図書館で勉強 (今日授業でわからなかったところのリストアップ、教授への質問のメールを作成・送信、翌日のカンボジアの発展に関する授業のリーディング、数学の課題等)
11:30 PM: 寮に戻りシャワーを浴びる。
1:00 AM: 就寝
Figures of Macalester 数字で⾒るマカレスター大学(参考)
- 生徒と教授の数の比: 10:1 (少し多いように感じる人もいるかもしれませんが、1 クラス多くても 30 人でレベルの高いクラスになるほど人数は減っていき、10 人以下のクラスもかなり多くあるので教授と生徒間の距離はとても近い。)
- 授業あたりの平均学生数: 17 人
- 半径 13km 圏内のインターンシップ先: 200+ (州都に位置しているのみならず、18 の Fortune 500 企業の本社、全米トップクラスの研究機関も数多くあり、在学中からそういった所でインターンシップを行う生徒がかなり多い。)
- 在籍中に留学する生徒の割合: 61% (留学中の単位認定などの制度もあってか、専攻関係なく多くの生徒が留学する。)
著者: 中嶋花音(なかじまかのん)。Macalester College 2023。神経科学&心理学二重専攻・生物学副専攻予定。孫正義育英財団 3 期生。
Contact: knakajim(at)macalester.edu ※(at)は@に置き換えて下さい。