Grinnell College

大器晩成型のグリネル

About

卒業生に世界的ジャズミュージシャンのハービーハンコック、インテル共同創業者のロバート・ノイスを擁するグリネル大学。そんなグリネル大を何よりも特徴づけるのは、多様性。留学生が20%、people of colorが50%以上を占めるキャンパスでは、留学生であることを忘れてしまいます。そんな多様性を支えるのがサポートの手厚さ。初日のオリエンテーションで、You are always welcome to any kinds of the offices. と言われたのは印象的で、自ら声をかける勇気が出せれば、みんな手を差し伸べてくれる環境が整っています。海外経験が少ない人でも、英語が不安な人でも、特に才能を持っていなくても、グリネルに来れば、4年間の手厚い教育が、あなたの中にある小さな芽を大切に伸ばすことができます。(野球で例えると、育成ドラフトで入団して、支配下登録を目指すための最適な環境だと勝手に思っています)。

目次:

1. About Curriculum (どんな学び︖) by Hiroaki Hiratsuka

グリネル大学の学びを一言で表すならば、「国際色豊かで自由な学び」です。 まず挙げられるグリネル大学の特徴は、国際化にとても前向きな点です。生徒全体に対する留学生が占める割合は約20%。これは数あるリベラルアーツカレッジの中でもトップクラスに高く、様々な背景を持つ学生が集うディスカッションは、異なる意見が次から次へと飛び出る刺激的な時間です。この国際化への熱心な姿勢はキャンパス外にも及びます。グリネルでは、全生徒のおよそ半数がキャンパス以外のどこかしらで一学期もしくは一年を過ごすほど、大学・生徒共に留学には熱心です。日本人の先輩方の中には三年次をロンドンやスウェーデン、デンマークで過ごした方がいます。

これに加えて、グリネル大学は授業選択の自由度が非常に高い事で有名です。グリネルの Open Curriculum の下での必修の授業は、一年生が初学期に受ける Tutorial のみであり、それ以降には何にも制限されず好きな授業を選択出来ます。一年生はこの唯一の必修授業で読み書きの基礎を身に付け、後は興味の赴くままに自分の時間を最大限好きな授業に費やす事が出来るのです。生徒一人一人には必ずアドバイザーが就くので、授業選択に困ったり悩みがあったりする時には親身に手助けもして貰えます。 グリネルの学びはこの国際色豊かな環境と、自由度の高いカリキュラム無しでは語れません。もしあなたが世界各地から集う生徒と触れ合い、要件に囚われずあらゆる授業を自由に受けたいならば、グリネル大学で過ごす四年間は、何ものにも代え難い充実した時間となるでしょう。

既にアメリカ留学しているのに、なぜ更に他国へ留学するのかと疑問に思った方がいるかもしれません。更に海外へ行く理由は3つに分かれるでしょう。現地語を磨きたいという生徒、グリネルでは取れない授業を取りたいという生徒、最後3つ目は楽をしたい生徒です。正直、グリネルはとても勉強します。そのような環境が多少息苦しいときは、留学して少し気分転換してみましょう。

 

2. About Students (学生の雰囲気は?) by Momizi Fukushima

学生はとてもリベラル志向の人が多いと感じます! – これはグリネルの多様性に関係していて、やはり文化が全然違う人たちの集まる場所だからこそ、新しいアイデアとか思想とかにオープンな人が多いと思います。 私の友達は、語るのが大好きな人が多く、社会について、政治について、放課後3時間くらい宿題をせずに語ったりすることもしばしば。 いつも私(日本人)とアメリカ人の男の子とインド人の女の子で議論をするのですが、みんなバックグラウンド・文化・家庭環境・宗教が全く違うから、着眼点も違うし、意見もバラバラだし、本当に視野が広まります。全く反対の意見を持つ人とも冷静に話し合えて、お互いわかり合おうとすることで、毎回新たな学びがあります。

グリネル生の進路は、57.2%が就職し、26.8%が大学院に進学します。ちなみに、専攻はCS(computer science)がトップの60人。Biologyが2番目で44人。3番目がPolitical Scienceで41人でした。でも個人的感触として理系の人が多い気がします。

3. Being in the U.S. (留学生への支援は?) by Momizi Fukushima

HSSC 人文・社会科学棟<br /> 2020年・出来立てほやほや<br /> HSSC 人文・社会科学棟
2020年・出来立てほやほや

学生の約20%が留学生のグリネルでは、留学生用事務局、OISA (Office of international students affair) が全力でサポートしてくれます。 入学したての留学生を出迎えるのが IPOP (international pre-orientation program)。IPOPでは1週間、アメリカでの暮らしに慣れてもらうため、お金の使い方から教授への接し方などを学びます。Partyでの対処法やアルコールの適切な飲み方、健全な男女関係など、日本の大学ではあまり教わらなさそうですね。 

OISAはとても頻繁に生徒にコンタクトを取る努力をしていて、visaやtax reportなどを必要書類についてとても丁寧に説明してくれるので、初めての一人暮らしでも全く心配ありません。個人的に入国書類等に関して、困ったことは一度もありませんでした。

 OISAに加えて、SASO (South asian student organization), SOL (Student organization of latino students) など、生徒の出身地域ごとのコミュニティも盛んに活動しています。もちろんJCA (Japanese cultural association) も楽しく活動しています。近年、日本人学生は増加傾向で、平均で1学年に10人程度在籍しています。

Chinese new year になるとCSA (Chinese student association) が月餅を作ってタレントショーをしたり、DiwaliになるとSASOがボリウッドの踊りを披露したり、ISO のfood bassarでは学生たちが自分の国の食べ物を作ってシェアしたりと、Diverseなグリネルだからこそできるイベントが盛りだくさん! アメリカの生徒たちも留学生が開催しているイベントに来て応援しているし、みんな興味を持ってくれているところがやりがいになります! – JCA ではあまりオープンイベントはありませんが、小さいキャンパスの中で日本人同士は学年関係なく本当に仲良いし、みんな面倒見がいいから、小さな相談事は全部日本人の先輩が答えてくれます。

入学した直後は、留学生の友達しかできなくて、アメリカ人の友達ができなかったらどうしよう〜などと悩んでいました。  本当にアメリカの学生もリベラルな人が多くて人種差別する人は全くいないので、自分が留学生であることを私は時々忘れてしまうぐらいinclusiveな環境です。留学生がの方が違いに繊細にならなければ、すぐに仲良くなれます。

Grinnellの食べ物事情

グリネルの食堂は、アメリカの大学飯にしては美味しいです。VeganやHalal, Gluten freeなど様々な配慮がなされている一方で、曜日によるムラが激しい印象です。本当は美味しいものを作ることのできるシェフはいるが、コスト的な観点で味が犠牲になっている印象です。上級生になると、コスパの悪い食堂と契約せずに、自炊をする人が多いです。こんな忙しい中、どこからそんな時間が湧いてくるのだろうか、、

4. About Extracurricular (課外活動は?) by Masaki Nawa

グリネルは学生数が2千人も満たない小規模大学のため、クラブや部活の数は正直なところ非常に少ないです。バスケットボールやアメリカンフットボール、サッカーをはじめ11種類の部活動で構成されでいます。どのくらいクラブがあるかはわかりませんが毎年秋に新入生向けにブースが開かれ、毎週金曜日の夜に、校舎でナーフガンを撃ち合う大会や大学から投資してもらったお金を自分たちで考えて運用するといったなかなか体験できないことができるユニークなクラブもいくつか存在します。自分でクラブを作ることもできます。また、音楽や劇場芸術に興味がある方はオーケストラや劇団などに参加する選択肢もあります。田舎にあるため、他の都市や郊外にある大学と違って周りには何もないかもしれませんが、大学はできるだけ学生生活を盛り上げるためにサポートをしてくれます。

私が所属している男子テニス部には全米の各州からのみならず、中国やインドからのプレイヤーが集結しています。秋学期では9月のはじめから10月の終わりまで、春学期はタームの終わりまで活動しています。基本的には試合がない限り日曜日以外の毎日2時間練習し、月曜日と水曜日はフィットネスセンターで筋力トレーニングに励んでいます。毎日出される課題との両立は大変ですが、全米大会を目指して日々みんなで頑張っています。みんな練習中は負けず嫌いで闘争心剥き出しですが、毎週一緒にパーティーをする家族のような存在です。ハイレベルで共に刺激しあえる環境にいさせてもらっているので、毎日成長させてもらっています。

グリネルの課外活動は、スポーツとアクティビズムの2つが代表的ですが、留学生は課外活動に参加しない人が半分以上です。例えば、筆者は土日は、韓国人の料理が趣味の友達の逸品に舌鼓を打っています。他にも、留学生運営のコミュニティのイベントに参加したり、GYMで汗を流したりして休日を過ごします。

5. About Student Life (どんな生活環境?) by Ryusei Sakaya

グリネルは、アイオワの州都デモインから車で1時間程度に位置する小さい町です。初対面の相手に、グリネルの周りはトウモロコシ畑しかありませんと笑いを取りに行きますが、実は20分ほど歩かないとトウモロコシ畑はありません。

キャンパスの周辺には、申し訳程度のダウンタウンと住宅街が広がっています。スタバもケンタッキーもウーバーもありませんが、そんなものグリネルには必要ありません!!第一に、学校生活が忙しいと、キャンパスの外に出れません。かえって余計な誘惑がなくて、学業に集中できます…そして第二に、欲しいものが買えないのではと思ったあなた。今の時代はAmazonがあるので、欲しいものも1クリックですぐ届くので、実は利便性に大きな差はありません。

むしろ完全なるキャンパスタウンだからこそ、街の人々と大学の距離がとても近くて、ダウンタウンにいても自分の家にいるような感覚になります。すれ違う老紳士に会釈するのはもちろんのこと。留学生は、希望者全員がホストファミリーを登録することができます。ホストファミリーの多くは地元住民ですが、仲には大学関係者がホストをしている例もあり、僕の物理の先生にホストファミリーとしてお世話になっています。

田舎というと古びた家を連想しがちですが、グリネルはそんなバイアスを打ち砕きます。グリネルの建物は総じて、綺麗でピカピカです。一方で寮には築50年以上の建物もあります。1年生のみが入寮できるノリス寮は、異常に狭い廊下で悪名高いのですが、その廊下の狭さは、演節当時盛んだったベトナム戦争に反対する学生運動を妨げる意図があったとか、なかったとか。

6. Good things about Grinnell (プチ自慢) by Momizi Fukushima

IPOP(オリエンテーション)中にダウンタウンを散歩してたところ、突然の雨。しばらく、インド人とブラジル人の留学生と3人で雨宿りしているさいに、自然に会話がスタートし、racismについて三人で語り合いました。もともと ブラジルの高校にいた際、アジア人として差別を受けてきた経験を持っていたことから、グリネルでも当然のように差別を受けるという前提で入学していた。しかし、話し合いの際に、みんなすごく私の話をちゃんと聞いてくれて、とてもinclusive なコミュニティだなと感動しました。特に、ブラジル人の子に自らのブラジルの経験の話をすると、悪口に聞こえないかと心配したものの、心配とは裏腹にしっかりと私の経験に共感してもらい、とても驚きました。たまたま雨宿りしたメンバーにもかかわらず、濃い話ができたことで、私のグリネル愛は最初からもうぐんと上がってしまいました。

7. One day in Grinnell (⾃分の⼀⽇) ※著者秘密

やはりみんな勉強は図書室 やはりみんな勉強は図書室

6:00 起床 
6:30 美術史の宿題 
7:50 ⾷堂に駆け込む
8:00 パンを⼝にはさみながら、⼼理学の授業を聞く 
9:00 ⽂化⼈類学の授業 
10:00 アラビア語の授業 
11:30 美術史の reading を終わらせる
1:15 ピークをすぎてガラガラの⾷堂でのんびり昼⾷
2:00 眠い目をこすりながら、心理学の授業を復習
3:00 少し場所の離れた美術史の教室へダッシュ
4:30 授業後少しだらだらしてから文化人類学の宿題を始める
7:40 閉まる直前の食堂に再び駆け込む
8:10 アラビア語のラボに行く
9:00 風呂・歯磨き
10:30 おねんね

グリネルの教室はすべて解放されていて、 <br /> 鍵を閉めるという概念がない グリネルの教室はすべて解放されていて、
鍵を閉めるという概念がない

(おまけ) One day in Grinnell Vol.2
8:00 起床
8:10 シャワー
8:25 授業の準備
8:30 朝食
9:00 人類学の授業
10:00 数学の授業
11:00 昼食
12:00 部屋で昼寝・休憩
13:00 計算機科学の小テストへ向けて少し勉強
14:30 計算機科学の授業
16:15 テニス部の練習
18:30 夕食
19:00 授業の課題をやる(人類学・経済学のリーディング、数学の課題をやる)
21:00   寮内の友達と会話・交流
21:30 残りの課題を終わらせる
24:00 就寝

Figures of Grinnell 数字で⾒るグリネル大学(参考)

僕自身は高校時代に、学校のネームバリューがトラウマでした。人間の価値と学校の有名さは、なんの関係もないのに、学校の名前で自己肯定し、他校を見くびる同級生そして自分自身が嫌いで、とても悩んでいました。そんな中、Fiske guideで「私がグリネルを選んだ理由に、ネームバリューなんてくそくらえだ。自分のやりたいことをするためにここへ来た」という記事を読み、直観的にグリネルに行こうと決めました。もちろん、ネームバリューやランクも大切ですが、本当にすごい人は、どこにいっても輝くことができる人だと思います。

と偉そうなことを言いつつも、僕自身三つだけチェックした指標がありました。大学院進学率(PhD productivity rate)と教育力ランキングと寄付金の額です。研究志望の自分自身にとって、院に行く割合とそのための教育の質が何よりも重要でした。その点で、院進学率11%(全米7位)、undergraduate teaching 3位(リベラルアーツ大学の中で)は自分にとって十分すぎる環境でした。また寄付金の額がウィリアムズに匹敵する$20億ととても多く、一人当たりの額では全米12位でした。

まあランキングがいくつであろうと、結局は自分がその環境を生かせるかどうかが大切なので、自分にとって必要な数値を吟味したうえで賢くランキングと付き合うことをお勧めします。入ればわかることですが、全くランキングは関係ありません。ランキングを調べるよりも、たくさんの先輩に話を聞きましょう。

著者一覧

福島文遥(ふくしまもみじ)。執筆当時Grinnell College Sophomore (2年生)。 Graded international school of São Paulo 卒業。写真左上

平塚大晃(ひらつかひろあき)。執筆当時Grinnell College Freshman (1年生)。芝浦工業大学附属高校卒業。写真右上。

坂谷竜聖(さかやりゅうせい)。執筆当時 Grinnell College Freshman。開成高等学校卒業。写真右下(写真内右)。

名和真輝(なわまさき)。執筆当時Grinnell College Freshman。ウエストンハイスクール卒業。写真左下。

募集要項