Bowdoin College
秀才たちが集い、大自然に抱かれてのびのびと成長できる教育の場
About
ボウディン大学は、米国メイン州のブランズウィック市にある、1794 年創立の私立リベラルアーツ・カレッジ、リトルアイビーの一校として名を連ねる。ウィリアムズ大学やアマースト大学と並び最難関の大学の一つで、ランキングでは常にトップに位置する。大西洋に面した美しいキャンパスは、生きた自然教育・環境教育の場になっていて、週末にはハイキングやスキーなどのアウトドアアクティビティがとても盛ん。フランクリン・ピアス第 14 代アメリカ大統領をはじめ、南北戦争の著名な軍人オリバー・ハワード、アメリカの代表的な詩人ロングフェロウ、Subway 創設者ピーター・バック、Netflix 創設者リード・ヘイスティングスなど数々の逸材が巣立っている。2006 年、ニューズウイーク誌はボウディン大学を称して”New Ivy”とし、アイビーリーグ以外のエリート校に加えられている。目次:
1. About Curriculum (どんな学び︖)
ボウディンカレッジを卒業するために必要とされている基本的な4つの条件:32 以上の授業の履修すること(2 学期制で、毎学期 4 つの授業を履修するのが基本的)、専攻学科の全履修科目で最低 C-以上の成績をとること、初年次セミナーの履修すること、そして一つ以上の専攻科目の修了すること。この他にアート系の授業を卒業時までに一つとったり、文系理系科目から一つ、などのような少し細かい条件もあるが、他の大学と比べてさほど気にせずとも大丈夫なくらい緩い条件だと筆者は個人的には感じている。
リベラルアーツ・カレッジにはよく見られる傾向だが、ボウディン大学でも実に 25 パーセントもの生徒がダブルメジャー(二重専攻)をする。 マイナー(副専攻)を考える生徒もとても多いのが印象的。特に人気な専攻は順に、政治学、経済学、数学。2 年生の秋学期後に専攻を決める。
2. About Students (学生の雰囲気は?)
校風が Work hard, play hard な文化なので、 とても勉強熱心で、自分の興味分野での活動を学生の本分とする中、同時にアスリートも多く、アウトドアアクティビティに熱心な人が集まるイメージ。Fraternity や Sorority などの Greek Life(アメリカの大学には顕著に見られる学生友好クラブみたいなもので、毎週大きなパーティーが行われる)はボウディン大学には存在せず、パーティー文化は存在するが他校と比べると比較的落ち着いてる印象。そのような意味では破天荒すぎる人はあまりいない、比較的落ち着いた雰囲気がある。筆者も大勢いる中ではしゃぎ回るというより少人数で仲良い寮の仲間やルームメイトたちと話しながらワイワイする、というノリの方が自分にあっていると感じているので、それができるという点でとても大学を気に入っている。
またボウディン大学では近年になって国際化が進んでいる。かつては人種的にも社会経済的にも均一性が高かったが、このところ多様化への動きが学生の人種的構成に歴然と現れている。有色人種の割合が 31%を越えている。また、海外からの留学生の人数も自分が入学した年(約4年前)は人学年あたり 20 人前後というところだったが、近年は 80 人以上に
なっている。日本人の割合はいまだに少なく学年に2人いればよい方だが、まだ受験者数的にも少なく日本人留学生にとっては穴場だという考え方もできる。
3. Being in the U.S. (留学生への支援は?)
ちなみに…友達の出身国は?
過去ルームメイトは、一年生時がベネズエラ人、二年生時がアメリカ人、三年生時がイラン人、中国人、セネガルにルーツのあるアメリカ人でした。他にも色々な国や経歴を持った人がいます。そのような経験をシェアするようなイベントもあり、彼らの話を聞きに行くのはとても勉強になります。Pre-Orientation と呼ばれる留学生向けの特別なオリエンテーションが入学時にあり、それを通して他の留学生たちと仲良くなれる機会があります。Pre-Orientation は筆者が入学した 2016 年から行われるようになったもので、近年少しずつ留学生の人数が上昇傾向にあり、留学生への待遇や制度もよくなってきている何よりの例だと思います。また留学生はホストペアレント制度を希望することができ、筆者もキャンパスから車で5分ほどの距離の場所にホストペアレントが住んでいます。週末になると外食に連れて行ってくれたり、⻑期休み期間中は荷物を家に保管してくれたりする、とても優しいご夫婦です。
また留学生だけを担当する Dean が存在し、その方は留学生たちがアカデミック面やソーシャル面で問題なく、充実した生活を送ることができているのかチェックインを定期的にしてくれます。ビザやその他必要重要書類の発注や更新手続き、またアメリカのキャンパスで働くために必要な Social Security Number の取り方の手続きを補佐してくれたり、と分からないことがあらば、すぐに対応してくれるサポートシステムが整っています。アカデミック面では校内に Writing Center なるものが存在し、留学生は特にここでエッセイの書き方や添削方法などを習いに行くことが強く推奨されています。筆者も今まで数回、履修している授業の課題エッセイにおいて、エッセイの内容や書き方で詰まった際に、アドバイスをもらいに訪れた経験があります。
英語力の不安と対処法
私は授業でのディスカッションが苦手でしたが一度も発言なしにならないよう、前日の予習時に前もって自分の言うことを決めておく→ディスカッション開始後一番に発言するということから始め、次第に臨機応変に議論に参加できるようになりました。日常生活について言うと、英語力のかわりに何か自分を表現できるものがあると強いと思います。私の場合それがダンスでしたが、話をするきっかけになるし、同じ趣味を持つ人と意気投合して仲良くなれます。4. About Extracurricular (課外活動は?)
ボウディン大学には100以上ものクラブが存在する。もっとも大きいのが Bowdoin Outing Club というアウトドアクラブで、こちらは年に 100 回もの小旅行を企画する。年間 50 ドルを支払うだけで毎週どの小旅行にも無料で参加することができ、筆者もこのクラブに属し、過去にはスキーに行ったり、数日間にもわたるバックパッキングを山の中でしたりした(毎日山の中を黙々と歩くのは辛かったけど、終わってみたらとても達成感があったし、何より最終日浜辺についてそこでテントをはってその中から見上げた満点の星空は言葉で表せないくらい綺麗なものだった)。
1805 年に組織された Peucinian Society はアメリカでも最古の文学の集まりで、前述のロングフェロウもメンバーだった。筆者の二年前の元ルームメイトもこのクラブに入っており、彼もよく正装しては他のメンバーとあらゆる議題についてディベートをしたり、ある議題についてスピーチをしに出かけていたのを覚えている。
スポーツに参加する人も実に多く、レベル順に上から Varsity, Junior Varsity, Intermural と分けられる。Varsity は基本的にスポーツ推薦で入った人たちがプレーするが、それ以外は一般枠で入った人たちも気軽に入ることができる。筆者も一年生時はIntermural のチームでサッカーをし、二年生時に Junior Varsity のチームに属した際には、期間中はほぼ毎日 2 時間ほど練習をしていた。練習が無い日などはジムに出かけたり(ジムに行く人はとても多い!)、PickupSoccer と呼ばれる男女混合のお遊び形式のゆるーいサッカーが行われているのでそれに顔を出していた。
他にも筆者が過去に関わった課外活動ではロボット部やThe Bowdoin Orient(全米最古の学級日誌)のウェブ編集チームがあったり、校外では近くの小学校に毎週一回算数を教えるボランティアがあったりもする。現在は Japanese Student Association(日本人と日本に興味のある人たちが入れるクラブ)の活動や数学の採点アルバイト(教授から声をかけられると出来る)の二つに絞って活動しているが、実にいろいろな活動をする機会に恵まれていると感じている。授業や課題に追われがちだが、学生たちの意欲はとても高く、全員何かしらの活動には携わっている印象がある。
5. About Student Life (どんな生活環境︖)
治安はとても良い。ボウディン大があるブランズウィック市は都会とは決して言い難いが、田舎にしては発展している方。森や海に囲まれているが、ダウンタウンにいけば(キャンパスから徒歩5分圏内)、レストランやスーパーが並ぶ。ブランズウィック市から車を 15 分飛ばせば、メイン州最大のアウトレット街であるフリーポートや 30 分飛ばせばメイン州最大の港町ポートランドにたどり着くことができる。基本的にはキャンパスの中で生活が完結するが、たまに息抜きをしたいときに遠出することもある。ボストンまでAmtrack(電車)やバスが直通で出ているので片道 2 時間半かけて週末遊びに行くことも可能。
とはいえ、キッチンやコモンスペース、勉強スペースや大型テレビのスクリーンなどが完備の上、一人ずつロック可能な寝室が与えられていた流石に贅沢すぎる寮でした。でも現在新しく全く同じような dormitory が着々と建設されていっているそう…
メイン州は豪雪地帯。冬は気温がマイナス30度まで下がり、寒いというより痛い、といった表現の方が合ってるっていうくらい外に出ると辛い思いをします。なので基本雪の中で遊ぶ時やウィンタースポーツをしに出かける時以外は、冬は暖かい室内に閉じこもる生活になります。この状況をよく捉えるとするならば、寒くて外に出られないのでおのずと勉強が捗る、という点が挙げられますが、寒さが苦手な方にとってはあまりいい環境では無いのかもしれません。
6. Good things about Bowdoin (プチ自慢)
公式マスコットは白熊。とても可愛いですよね。でもボウディンのロゴとしてよく用いられる顔のついた太陽があるんですが、そちらはあまり可愛くないです、、、
学食の美味しさは全ての総合大学、リベラルアーツカレッジを含めても全米トップクラス。学食ランキングを公表する数々のウェブサイトがある中、ボウディンカレッジの学食はそのどのウェブサイトのランキングにおいても常に上位5位には入っている。バイキング形式で日毎にメニューは変わるが、筆者は中でも、ロブスター、クラムチャウダー、グリーンソースがかかったムール貝などのシーフードやビビンバ(韓国)などが美味しいと感じている。
またボウディンを受ける際、SAT などのテストスコアの提出が任意になっているため、受けるハードルは他のトップリベラルアーツカレッジに比べて断然低い。Supplement Essay も 250 単語以内のエッセイが一つか二つだけなので、興味が少しでもある方は是非チャレンジして受けてみることを強くお勧めしたい。
7. One day in Bowdoin (自分の一日)
2:00 前日の就寝時間
9:00 起床
9:35 統計学 授業
10:40 応用複素解析 授業
11:40 昼食
13:15 日本文学におけるおばけ・怪物・幽霊などについての授業
16:00 サッカー・ジム
17:30 勉強
18:00 夕食
19:00 遊び・雑談
21:00 勉強(翌日あるグラフ理論の授業や環境分析の授業の予習復
習、その他エッセイや問題集など)
1:00 シャワー
1:30 就寝
Figures of Bowdoin 数字で⾒るボウディン大学(参考)
- 生徒数:1800+
- 生徒:教授比が 9:1
- 大学院進学率が 70%
- 合格率:年々合格率が下降傾向にあり、今年は過去最低の 9.1%を記録。(筆者が入った時点で 14.8%)
- 一授業の平均学生数:17(過去履修した中で一番大きいクラスが生徒数50人、一番小さいクラスが生徒 4 人でした)
- 男女比:ほぼ 1:1(女子の方が少し人数は多い)
- Need-based Financial Aid Recipient (奨学金受給者)の割合:48.6%
- 4 年間で卒業する学生の割合:91%
著者: 小森麟太郎(こもりりんたろう)。開成高校卒業・Bowdoin College Class of 2021・グルーバンクロフト基金奨学生及び大学からの奨学金を獲得・数学専攻・経済学副専攻予定 (写真下)
Contact: rinkom1009(at)gmail.com ※(at)は@に置き換えて下さい。